薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク

薔薇ノ木ニ 薔薇ノ花咲ク

メーカー ：  Cyc Rose

ジャンル ： ADV （カード組合せ ： 選択肢）　　　　ボイス  ： ボイスあり（非フルボイス）

シナリオ ・ 原画 ： 草香祭

内容 ： 時代は昭和初期。全寮制の男子校で下働きをして暮らしている主人公は
　　　　  ある夜、何者かに校内で薬をかがされて強姦される。
　　　　  しかも後日、その陵辱現場の写真が親しくしていた先生のところに送りつけられるわ
　　　　  主人公が犯されたことを知ってるっぽい学生が何人も現われるわで、さあ大変。
　　　　  陵辱されたことを知っている人物達にどう接していくか、
　　　　  主人公を犯した犯人は誰なのか？古き良き耽美な世界でミステリィ風の物語が展開。


● 耽美　　　● 昭和初期　　　● 全寮制男子校　　　　● 鬼畜・陵辱　　　● 総リバ　　　● 総当り式
● せつない系　　　● 狂気　　 ● 学ラン　　　● ツンデレ　　● ショタ　　　● 腹黒　　　● 寡黙

攻略対象 ： 6人　　　　　　　ED ： 19


☆ 死にネタ・鬼畜ルートあり。

☆ 脇カプあり。というか脇カプを自由に作れるゲーム。

 

○ システム　　－　　快適です。ゲームシステムがわかりやすく、面白い。

・ バックログ機能あり、スキップ機能あり。バックログには音声再生機能もあります。

・ どこでもセーブ＆ロード可能。

・ キャラクターカードを重ねて話を進めつつカップリングを作っていきます。
　 上に重ねたキャラが攻めになるんですが、キャラクターごとに基本パラメーターがあって
　 攻め度の高いキャラと低いキャラが存在したりしていて面白い。
　 攻め度高いキャラを受けにしていく過程では地味に下克上気分を味わえて楽しいです。

・ ギャラリー、シーン回想、サウンドモードあり。

・  エクストラメニューなどで、操作に対してキャラクターが喋って反応するのが
　 たまにウザい。気分によっては可愛くて嬉しいときもあるけど、別になくてもいいような。



○ 絵　　　－　　かなり癖のある絵。しかし世界観には合ってます。耽美ワールド。

・ モロに昔の少女漫画風。濃くてキラキラしいです。まさに耽美系。
　 かなり癖がある絵柄ですが、世界観にはぴったり合ってます。
　 慣れたら、このゲームはこの絵じゃなきゃ駄目だなとまで思えるようになりました。

・  立ち絵、スチル共に安定してます。
　 一部首がおかしな角度の子がいたり、ちょっと体が変なスチルもありますが、
　 まあ許容範囲内で、崩れているとは言えないレベルかと思います。

・  塗りは丁寧できれいです。
　 配色は暗めの落ち着いた色合いが多く、イメージも統一されてます。

・ 背景も丁寧に描かれていて、世界観がしっかり出てます。



○ シナリオ　　－　　量・質共に文句なし。世界観・キャラ・カップリング、全てが丁寧。

・ 昭和初期の雰囲気を出すために独特な単語が出てきますが、読みやすい文章です。

・  総当り、総リバで、途中から純愛ルートと陵辱ルートに分岐するのでボリュームたっぷり。
　 エロもなかなかバラエティーに富んでます。特に陵辱ルートは多種多様。
　  しかし喘ぎ声の表現は微妙。書き慣れていないのか、少々おかしなことになってます。

・ カップリング総当り、総リバにもかかわらず、人格崩壊しているキャラクターがいない。
　 これはすごいです。製作者の愛の偏りもあまり感じさせませんし、誰と当たって
　 どんな意外な面を見せても、ちゃんとそのキャラらしさを感じさせてくれます。
　 どのカップリングにも安心して萌えられる。

・  恋愛描写が丁寧。恋愛と言えるのか疑問な人達もいますが、
　 なんでこの人達デキちゃったの？なんでそこでセックスすることになるわけ？という
　 BLGにけっこうありがちな展開がない。エロにいくまでに、わりと納得できる流れがある。

・  メインストーリーは暗くてドロドロしてますが、カップリングによっては笑いもけっこうあって
　 全体的には、いい意味で意外と爽やかな印象。後味悪くないんです。

・ BLGで初めて泣きました。切ない系好きにはたまらない。

・ EDは1カップルにつき1つ。エロは受け攻め2パターンありますが、EDは一種類です。

○ サウンド　　－　　良くも悪くも印象的。演技は下手ではないが、喘ぎ声が微妙。

・ 音楽も濃いです。特にスタート画面やカード操作画面でのBGMは耳について離れない…。
　 きれいな曲もあり、全体的には選曲も合っていて悪くなかった。

・ SEに関してはカード重ねたときのジャキーンという音が、かなりのインパクト。
　 ちょっとゲームの雰囲気から浮いている。

・  声ありですが、非フルボイス。声入ってるとこがちょっと少なめなので、やや物足りない。
　 全体的に演技は悪くないんですけど、声質はわりと癖があるかもしれません。
　 それと喘ぎ声というかイキ声は、テキストも相まって少々笑いを誘うものが多いです。

・  ショタっ子がいますが、全員男性声優さんが演じています。
　 女性声優さんが男キャラを演じているのが苦手な人（私）も安心です。



○ キャラクター（主人公＋攻略対象）

日向要　  ：  主人公。動植物好きの、おっとり系。やや鈍くさいが、勉強好きで実際頭もいい。
　　　　　　　  色素薄めで長髪の女顔美人系。
　　　　　　　  なよなよしてそうだが意外と負けず嫌いで、貧乏人ならではの逞しさもある。

月村幹彦 ：   生物教師。インテリメガネで黒髪オールバックという、かなり神経質そうな容姿。
　　　　　　      いかにも知的な感じ。いつも穏やかな態度だが、どこか冷酷さも感じさせる。
　　　　　　　　 何を考えてるかよくわからないタイプ。

土田憲実 ：  剣道の達人。真面目で寡黙な人。黒髪短髪に長身でいかにも実直そう。
　　　　 　　    不器用で表情に出にくいタイプだが、おおらかで優しい性格。

水川抱月 ： 飄々としていて人懐っこい小説家。子供のように好奇心旺盛で悪戯好き。
　　　　　　　 日英ハーフで金髪長髪というお耽美な容姿。しかし着流し愛用と個性的。

火浦あずさ ： 気が強そうな女の子顔の美少年。快活でプライドが高く、ズバズバ言うタイプ。
 　　　　　　　   潔癖症でワガママだが、基本的に世間知らずなので妙に素直な面もある。

金子光伸   ： 名家の子息。見た目は癖のない男前。表向きは成績優秀で品行方正だが、
　　　　 　　     裏では寮を抜け出して放蕩三昧している遊び人。シニカルなひねくれ者。

木下真弓　：  幼い頃に両親を亡くし、火浦家に引き取られてあずさと一緒に育った。
　　　　　　　　 黒髪おかっぱ美少年。いつもあずさと一緒。大人しそうだが、かなり腹黒い。
 


○ 感想　　　　－　　　完成された世界観と素晴らしいシナリオ。耽美なバトルロワイヤル。

とにかく、シナリオのボリュームが物凄い。
1プレイあたりの長さは特別長くもないんですが、総当り式総リバなうえに
純愛と陵辱でルート分岐するため、バリエーションが物凄い。

純愛ルートはカップリングの数だけEDがありますが、陵辱ルートのEDはBAD含めて2つ。
しかし陵辱ルートでは、自分で手を下すことももちろんできますが
手篭めにしたキャラを仕込んで、他キャラを襲わせることもできるんです。
これがかなり楽しい。
純愛ルートのときの展開と比較すると、いろいろ考えさせられるところもあって面白いです。
純愛では決して見られないトンデモプレイも見どころ。

シナリオはボリュームだけでなく、質も高いです。
膨大な量の話のパターンがありますが、人格崩壊しているキャラがいません。
陵辱ルートではほぼ全員壊れてますが、説得力ある壊れ方してて、それもまた魅力的。
キャラクター同士の関係も、よく練られていて会話やエロの流れも自然です。
ほとんどギャグになっている人達もいますが、その展開がキャラに合ってて萌える。

カップリングやキャラクターに、製作者の愛の偏りが見えないので
どの組み合わせにも安心して萌えられます。マイナー嗜好でも安心です。
脇カプ作り放題なので、主人公が苦手でも十分に楽しめます。

声に関しては量の少なさが気になりますが、テキスト量がハンパないから仕方ないかな。
あと声質にけっこう癖のある人が多いような気がします。
私は要の声のなよっちさと、あずさのうるささが少し苦手でしたが、これは好みの問題か。
それと普通の会話シーンでは皆さんお上手ですが、喘ぎ声は上手くないです。

喘ぎ声といえば、テキストも変。
エロシーンが下手というわけではないんです。喘ぎ声以外は上手いです。萌えます。
なんであんなに喘ぎ声だけ変なんだろう。特にイキ声の表現は突き抜けてる。不思議です。

あと不安要素といったら、あの独特な絵柄ですが、
これはもう、慣れろ。
としか言いようがないです。私もあの絵はかなり苦手でしたが、意外とあっさり慣れました。
丁寧でクオリティーは高いので、慣れちゃえばむしろ世界観に合ってて好印象です。

いろいろと濃いですが、盛りだくさんで王道の萌えもあるので
多くの人におすすめしたい良作。
せつない系が好きな人は、かなりの高確率で萌え死ねると思います。

心理描写が丁寧なので、意外なところに萌えを見出せる可能性もあり。
まさか年少組を好きになれるとは思いませんでした。



最萌えカプ　  ： 金木　　ひねくれ者と腹黒の絶妙なコラボレーション。

最萌えキャラ ： 月村　　最後の最後で転びました。